東京に行く。
 僕は、学生のとき知ったある作家の「詩人は旅をしない。なぜなら今、ここにいて世界中を旅することができるからだ」という内容の言葉にとても感銘を受けて、詩人じゃないにもかかわらず、旅行なんてと思っていた。ただ、今は精神状態がそこそこ良いせいか、この言葉に関してもうつ病がうまいこと言った、ぐらいの感想しか持たない。
 さて、どの手段で行くかだが、バスにしようと思う。地獄の深夜バス。夜型人間の鬼門。眠ることができない。夜8時に乗って確か0時ごろに消灯だったか。それが合図になって僕は、鳳凰幻魔拳を食らうことになるんだろう。暗闇が呼ぶ、嫌な思い出大集合。東京につくころには廃人だ。
 ともあれ、少し楽しみだ。久しく無かった感情だ。ひたすらプラプラしてこよう。