今朝、自転車に乗ると、サドルがブヨブヨしていた。冬の硬いサドルと違って、熟し始めた果物みたいな。陽のあたる場所においていたからだけど、春が来たのかなと思った。ここんところ寒かったけど、今日は暖かかったし。
いや、熟し始めたというか、腐ってるんだよ。サドルも、なにもかもが。春というやつはそういうものだ。終わりなのだ。
春は入学とか入社とか、新しいクラスとか新しい課とか、とにかく新しい環境が人を待つ。けれど、そこかしこで見られる、新芽みたいに青くてかたくて初々しい、人々のふれあいなんて、僕は嘘っぽいとしか思えず。ただ尻の下でグニョグニョする腐れサドルだけが、この季節の真実のように思えてならない。


ネットはまだつながらない。