今年の4月仕事を辞めてコンビニで働き始めた、というのが妄想だったことに先週気づいた。
そんなことはどうでもいいのですが、この前職場でインスタントコーヒーが飲みたくなったので、給湯室に行った。砂糖を入れようとしてビンを手に取ると、フタがきちんと閉まっていなかったので落ちてしまい、大量の砂糖を床に撒いてしまった。
僕は感情に乏しい人間で、滅多に動揺するということはないのですが、何かをこぼしてしまうとか、撒くといったことに関してはとても弱く、パニックに陥りやすい。今回も動揺して、立ち尽くしたまま高速でまばたきをし続けたのだが(そうすれば現実が薄まる気がしたからです)、そこへアルバイトの女の子が通りかかった。
彼女は床に撒かれた砂糖を見て「拭きましょうか」と言った。何だか悪い気がしたけど、こういう場合せっかくの好意をむげにするのもなんなので、「えー、あー」と言いながらも「じゃあ、よろしくお願いします」と言った。
彼女は雑巾を持ってきたが、その時僕の上司がコーヒーを入れるために給湯室に入ってきた。給湯室は狭いため掃除は上司が出て行ってからするつもりのようで、あっさり立ち去るのも悪いかなと思って立っていた僕と並んで給湯室の外で待つことになった。
僕はこの時、猛烈に言い訳がしたくなった。それもできるだけみっともなく、浅ましく。自分に非があるのではないと弁解したかったのではない。こういう場合、言い訳をするということはかっこ悪い。なにがあろうと、実際に撒いたのは僕なのだし、それをわざわざ掃除すると言ってくれている彼女に対して、妙な言い訳などするべきではない。だがしかし、それゆえに、言い訳をしたくなったのだ。
僕は唐突に「ちがうんですよ」と言った。彼女が僕の顔を見る。「そうじゃないんですよ。前の人が砂糖のビンのフタをきちんと閉めてなかったんです。それで持った時にビンが落ちちゃったんですよ。それでこんなことになっちゃったんですよ・・・」
そこへコーヒーを作り終えた上司が出てきて言った。「言い訳するな!」僕はその的確な指摘にヒーヒーと涙が出るほど笑い、唖然としている彼女に「いや、すいません。それじゃお願いします」と言ってデスクに戻り、仕事を続けました。
最悪だ。





ゆきゆきて、神軍」20年ぐらい前までは、自分は子供だったけど、こういうおじさんってたまにいたような気がする