今、部下ではないが、21歳(だったか?)の子が自分について、仕事をやっている。4月からは僕は異動になるが、その子が僕の仕事を引き継ぐようになる。
 なかなか自立心の強い子というか、あまり人に聞かないで仕事を進める。僕が質問しにくいオーラを出している、というのもあるのかもしれない。それについては直さないといけないだろう。今やらせている仕事でもずいぶんと、聞けばいいのに、というミスが発覚してきた。それでも現段階では大して支障がない仕事なので、まあ大丈夫というか、それだからやらしたので構わないのだが。
 ただ、どうも、人に聞く、ということを、人に従う、ということと重ねてしまっている部分があるように思う。自分で考えるということはとても大事なことだし、それは失ってはいけないのだけど、今の僕の担当業務というのは、独力で考えながらやっていく、ということがそれほど要求される仕事ではない。過去何十年と遡るような経緯やら、畑違いの技術的な専門知識やら、飛び道具みたいに絡んでくる法令やらが絡み合ってくる仕事なので、独力でやることより、周りや関係者から、いかに情報を引き出すか、そしてそれらをいかに組み合わせていくか、が大切な仕事だと思う。人の話を聞く、ということを、従う、という敗北ではなく、自分がうまく情報を引き出した、という勝利として受け止めることが必要なんじゃないかと思う。
 あるいは、とても繊細で、人に聞くということを図々しくできない子なのだろうか。そうは見えないが、可能性はある。
 前の所属は楽しかった、という。自分に裁量があって、自分で考えて好きな形に仕事を作っていけた、と(本当かどうかはわからない。前の所属や上司がヤバいだけかもしれないが)。でも今の仕事はそうじゃない、という。
 彼と僕とは同じ高校出身だ。ほとんどが大学に進学する高校だ。その中で、進学せずに就職した彼だ。どうしても発生してしまう、大学に行っていないというコンプレックスは彼に、安易に周りに従ったり流されることを、必要以上に嫌悪させるのかもしれない。それが人一倍の自立心を持たせるのかもしれない。いい点でもあり、悪い点でもある。
 自分で考える、ということを怠りがちな僕にとっては、非常に刺激的な存在ではあるのだが。