ラブレターをもらうことを早々に諦めた僕は、実は目標を変更していたのでした。それは、単純作業というつまらない仕事に徹することによって自我を放擲し、内面に真空状態を作り出して内なる神殿に聖霊を導きいれる、というものでした。
だけどその種の精神状態にはまったく至ることができません。やってくるのは眠気ばかりです。そうしてうつろな意識でもって、無意味な会話を同僚と交わしています。今日などは同僚の独身おばさんがインコを飼っている、というので僕は「殺し屋みたいですねえ」と言ってしまいました。アランドロン主演の「サムライ」を思い出したからですが、知らない人にはまったく通じないどころか、不愉快だったことでしょう。
こういう風にして、後悔やら罪悪感やら失望やらが、眠気の中にただひたすら溜まっていきます。そのうち眠りそのもの、汚染されてしまうのかもしれませんね。悪夢とか。